災害に強いまちづくりを実現するマンホールトイレとは2025.11.13

災害に強いまちづくりを実現するマンホールトイレとは本ページは、国土交通省が発行した「マンホールトイレ整備・運用のためのガイドライン-2025年版-」に基づき、2025年11月13日に情報を更新しました。

【主な更新内容としては、以下の通りです。】

①貯留型の区分に更に管路内貯留型と流下貯留型の区分が追加
②流下型・流下貯留型の配管最上部に「一時的な洗浄水貯水槽」が明記
③1基あたりの使用想定人数の目安が変更(50人~100人→50人)
④マンホールトイレの水源の一つとして、災害用井戸が追加

 


世界の中でも地震が非常に多いとされている日本。
内閣府によると、世界で発生しているマグニチュード6.0以上の地震のうち、約20%が日本で発生していると報告されています。

マグニチュード6.0以上の地震回数

出典:「内閣府防災情報のページ 災害を受けやすい日本の国土 第1章我が国の災害の状況」(国土交通省)
(https://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/h18/bousai2006/html/honmon/hm01010101.htm) (2025年8月6日に利用)

 

 

一方、災害は地震だけではありません。
近年は気候変動の影響により、ゲリラ豪雨やそれに伴う土砂災害なども増加しており、私たちの身近なところにさまざまな災害が潜んでいます。

災害時の対策としてよく耳にするものとして、食料や生活必需品などの災害備蓄品があります。
市区町村などの自治体でも、災害備蓄品を保管するための備蓄倉庫の整備が進められています。

 

しかし、備蓄だけで災害対策は十分と言えるでしょうか。

2011年の東日本大震災、2018年の西日本豪雨、2024年の能登半島地震では、災害発生後にトイレが使用できなくなり、衛生環境の悪化や健康被害が深刻な課題となりました。
こうした状況を踏まえ、東京都では2025年3月に「東京トイレ防災マスタープラン」を策定し、災害時のトイレ環境の向上に取り組んでいます。

将来発生が予想される災害に備え、災害用トイレの確保や整備の促進が全国的に始まっています。

アロン化成では、避難所となる学校や庁舎、公園、マンションなどの民間施設等にも施工可能な災害用トイレ排水システム(マンホールトイレ)を開発しています。

本コラムでは、災害時に活躍するマンホールトイレについて詳しくご紹介します。
災害に強いまちづくりの実現のため、ぜひご活用ください。

目次 ※各項目をクリックすると該当箇所に移動します。

 

マンホールトイレとは

災害用トイレシステムは、学校や庁舎、公園、マンションの敷地内などの人が集まる場所に設置可能な災害用トイレです

マンホールトイレとは、下水道管のマンホールの上に便座と簡易的な囲いを設置してすぐに使用できる災害用トイレの一種です。

発災時にマンホールトイレとして使用できるよう、事前に整備する必要がありますが、下水本管へ直接汚物を流すことができるため、簡易トイレ等で必要となる凝固剤による後処理も不要です。
そのため、通常の水洗トイレに近い衛生的な環境で使用することが可能です。

また、仮設トイレなどと比べて出入口に段差がないため、幅広い方にご利用いただけます。

実際に、災害時でも日常使用しているトイレに近い環境を迅速に確保できる災害用トイレとして、東日本大震災や熊本地震などで好評を得ています。

 

一方で、2022年度末時点で設置数は約4万2千基にとどまっているため、国土交通省では、被災者が「使いたい」と思えるマンホールトイレを整備するための配慮事項をまとめた「マンホールトイレ整備・運用のためのガイドライン」を策定し、普及に努めています。

さらに2025年10月には、能登半島地震を踏まえた「マンホールトイレ整備・運用のためのガイドライン-2025年版-」が発行されました。

 

流下型と貯留型のちがい

マンホールトイレは、し尿の処理方法により、以下の3種類に分類されます。

・本管直結型(下水道のマンホールに上部構造物(便器及び仕切り施設等)を設置し、上流から流れてくる下水を利用してし尿を流す)

・流下型(下水道管路に接続する排水管に上部構造物を設置し、一時的な洗浄水貯水槽から水を流すことでし尿を流す)

・貯留型(貯留槽や貯留機能を持つ排水管に一定量のし尿を貯めることができる)

 

本コラムでは、流下型と貯留型システムの特長をご紹介いたします。

 

 

流下型について

流下型マンホールトイレの概念図
流下型概念図「マンホールトイレ整備・運用のためのガイドライン-2025年版-」国土交通省より引用
流下型災害用トイレ排水システムの図
アロン化成の流下型災害用トイレ排水システム

流下型の特長は、シンプルかつ低コストな設計であることです。
一時的な洗浄水貯水槽から排水管に水を流すことで、効率よく下水本管に貯め流しを行います。
アロン化成の災害用トイレ排水システムの場合、水門マスが一時的な洗浄水貯水槽に該当します。

下水本管や下水処理場が耐震化されているエリアでは、流下型のシステムにすることで、低コストで災害用トイレのシステムを整備することが可能です。

 

 

貯留型について

流下貯留型概念図「マンホールトイレ整備・運用のためのガイドライン-2025年版-」国土交通省より引用
管路内貯留型概念図「マンホールトイレ整備・運用のためのガイドライン-2025年版-」国土交通省より引用
アロン化成の流下貯留型災害用トイレ排水システム
アロン化成の流下貯留型災害用トイレ排水システム

貯留型は、貯留機能を備えたシステムです。
貯留槽に貯留を行う流下貯留型と、排水管に貯留機能を持たせた管路内貯留型があります。
貯留型は、一定期間の貯留が可能なため、下水本管の破損や下水処理場が機能を停止した場合でも、復旧までの間、安心して使用できます。

アロン化成では、流下貯留型の災害用トイレ排水システムをラインナップしております。
誰でも簡単に管路の切替ができる切替マスを設置することで、下水本管への流路と貯留槽への流路を容易に切り替えられるシステムとなっています。

下水本管の破損等、異常が発生した場合は、すぐに貯留槽へ管路を切替え、継続的な運用を実現いたします。

 

 

切替マスについて

切替マス(横型)

切替マス(横型)

切替マス(縦型)

切替マス(縦型)

 

下水本管への管路と貯留槽への管路をすぐに切替することが可能な貯留型システムとなっており、施工場所や環境を含め様々なケースに柔軟に対応できるシステムです。

 


切替マス製品紹介ページバナー

 

アロン化成が考える災害用トイレ排水システム

災害用トイレの「衛生」と「安心」を実現するために、弊社では下記の観点を追求して製品開発を行なっております。

 

【流下性】いかにトイレ機能を維持するか

 

【防臭性】いかに衛生的なトイレ空間を維持するか

 

【安全性】いかに利用者の安全面に配慮するか、排水先を確保するか

 

【経済性】いかに多くの選択肢をご提供できるか

 

それぞれの観点が製品開発に取り入れられています。
例えば、【防臭性】の観点。
過去に被災地でマンホールトイレを使用した方々からいただいた声を参考に、弊社では洋式トイレ用および小便器用の防臭ふたを開発・販売しています。

また、【流下性】と【安全性】の観点において、誰でも簡単に安心して運用ができるシステムを目指しております。
そのために、アロン化成の災害用トイレ排水システムは、水門マス等の関連部材を含めて軽くて丈夫なオール塩ビ製で作られています。

 

 

アロン化成の災害用トイレ排水システムは、大小さまざまな規模に対応可能です。
マンホールトイレの基数や使用人数に応じて最適なご提案が可能ですので、お気軽にご相談ください。

 

お問い合わせ(別タブで開きます)

マンホールトイレの説明動画

マンホールトイレに関する説明動画とアロン化成の災害用トイレ排水システムの説明動画もございます。
記事と併せて、ぜひご活用ください。

知っていますか?マンホールトイレのこと
アロン化成のマンホールトイレの特徴

弊社製品の実験動画(流水実験・防臭ふた紹介動画)

弊社の災害用トイレ排水システムの【流下性】および【防臭性】に関しては、実際に実験を行った動画がありますので、下記よりご参照ください。

マンホールトイレ「E-WCシステム」流水実験
マンホールトイレに防臭機能を付加「マンホールトイレ用防臭ふた」製品紹介動画

国土交通省発行の「マンホールトイレ整備・運用のためのガイドライン- 2025 年版 -」

下記よりご参照ください。

https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/content/001964877.pdf

 

 

避難所のトイレ問題と解決策をまとめた資料

さらに詳しく避難所のトイレ問題と解決策をまとめた資料を配布しています。

下記リンク先のページに資料の詳細を記載していますので、今後の設備導入の検討材料としてもご活用ください。

(下記ボタンをクリックすると、別タブで資料ページが開きます)

 

 

【資料】避難所のトイレ問題と解決策